このままで、いたい。
わがままだろうか。




「へーちゃんは、隠し事が下手」
「何で、いきなり」
「だって今隠し事、してるもの」
平助は目を丸くしてを見る。
は少し饅頭を口に含んでよく噛んで飲み込んでから
残りを皿に置いて、平助のほうを見る。




「だってね、へーちゃんが隠し事してるときは大抵元気がないの」
「ふぅん?」
「今、元気ないでしょ」
「別に、そんなこと」
「あるよ。だって、昨日も、今日の朝もご飯残してた。いつもならつまみ食い来るのに最近ずうっと来てない」
「・・・・・・何その判断基準」
「だって本当だもの。元気のあるへーちゃんはご飯残さず食べるし、それじゃ飽き足らずつまみ食いだって来るもの」
の力説に平助は苦笑して、「そうだなー」と声を漏らす。
は平助の応答を待つ間、ずっと縁側からだらしなく垂らしている足を振っていた。




「元気ないかな、おれ」
「うん。元気ないよ、へーちゃん」
「そうかな」
「うん。そうだよ」
「そっか」
「なんで?」
「わかんねぇや」
「わかんねぇじゃわかんねぇよ」
、女の子だろー?そんな口の聞き方しちゃいけません」
「あ、話そらした。」




平助は苦笑して空を見上げる。
空は、彼の心を透かしたかのようにどんより曇り空だった。












戸惑いは太陽を隠す雲