今日も京都は暑い。
これを「盆地だから」で片付けてる一般の人たちは
かなり心が寛大で寛大で寛大だ。
私は駅前で貰ったうちわをひっきりなしに扇がせてそう思った。





「やぁ、ごめん。待った?」
「ごめんじゃないよね、というよりごめんで済むと思うか、このやろう」
「もちろん済むなんて思ってないさ。ちゃんが怒ってることぐらいこの僕にだって察しがつく」
「じゃあ涼しくして」
「生憎僕は神様でも仏でもムハンマドでもなければ魔法使いでもないんでね。」
「・・・・・・」
待ち人、こと戯言遣いのいーくんは私に決定打を打って
べスパに乗るべく実に暑苦しそうなヘルメットを被る。
私は残念ながらヘルメットなんてものを持っていないのでタクシーで行くと言ったのに
この男だけは、この男だけは本当に変なところで用意周到なわけで、
私もそれの道連れとなった。






「あ、そうだ。いーくん。玖渚の家に行く前にスーパーに寄っていこう」
「なんで?あいつの家には食わない食材がいっぱいあるはずだぜ?」
「あぁ、そうじゃなくてアイスだよ、アイス。きっと玖渚だって暑がってるよ」
「・・・あいつの家クーラーがんがんだけど」
「あ、もちろん私を待たせたばつとしていーくん持ちだからね。何にしようか。あ、ハーゲンダッツなんか良いかもねぇ」
「それにあいつのことだからどうせ部屋は締め切っててむしろ寒いくらいだと思うけど」
こいつには日本語が通じないんでしょうか。
尽くスルーされた私の話題はむなしくもべスパが走ることによって起きる風に掻き消された。
でも私がさっきの行動を含め、この行動さえ愛しく思えるのは

私が此の人を愛してしまっているからだろう。

あぁなんて可笑しな話!喜劇!と私は自分の中で嘲笑って
城咲の高層マンション前で青空を仰いだ。














恋愛とは何か



私は言う。



「それはとても恥ずかしいものである。」