「次私達が会うのは何時になるだろうね?
 まぁ、その時は天国かもしれないし地獄かもしれないし、お爺さんお婆さんになってるかもしれないけど。」
そういって君は笑いながら薬と多量の水を口に含んだ。






俺はその子とは初めて会った。
話を聞くと、どうやら同じ学年で同じクラスだったらしい。






「いやぁ〜。授業出てないからってそこまで忘れられてたのは初めてだわ」
「そう?結構みんな君の存在知らないと思うけど」
「そうかしらね。あたしは知らないよ〜。」
まるで他人事な彼女。
でも、彼女を見たときとても親近感が沸けそうな気がしなくもなかった。






「でも何でサンはこんなところでいつもサボってるの?」
「ん〜。ここにいたら天国に逝けそうだから?アハハ、馬鹿みたい?」
「…」
「そこ。黙るところじゃないよ、藤堂くん。あと、「サン」じゃなくて「」でいいよ」
「…それじゃあ、。さっきから気になっていたんだけどその薬はなに?」
「秘密?」
「なんで疑問系なんだよ。」
「なんとなく。秘密がある女ってかっこいいと思わない?」
「俺はそうは思わないけど。 で、結局なんなの?」
「ん?まぁ…ねぇ?」
「いや、まぁねぇ、じゃわかんないよ。しかもまた疑問系だし。」






どうやら彼女はジャンキーらしい。
彼女が言わなくてもなんとなく察しがついた。
多分、その察しがあたってれば相当の年月、彼女はそれに依存しているように見える。
(俺に彼女の何かがわかるかといわれればまったくそんなことないけど)
化粧をしていないであろう顔なのにとても青白かった。






「うふふ。では、藤堂くん」
「なに?」
「一世一代の告白するから聞いてて?」
「わかった」
「藤堂クン、実は貴方の事がずっと前から好きでした。」
「うん」
「でも付き合って、とは言わないよ?」
「なんで?」
「だって今から私、寝るから。」
「そうなんだ」
「うん。だから返事は起きてから、ね?」
「そうだね、それまで気長に考えておくよ。」
「ねぇ。寝る前に一つ聞きたいんだけど」
「なに」
「次、私達が会うのって何時になるだろうね?」
「さぁ」
「まぁでも会えたとしたら天国か地獄のどっちかで、だろうね」
「天国だよ。だって俺、閻魔様に会うような悪い事してねぇもん」
「嘘吐き。タバコ吸ってるところみた。」
「なら地獄だね」
「まぁ、どっちでもいいや。また会えたらよろしくね?」
「考えておくよ」
「意地悪だなぁ」
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」






そういうと彼女は口の中に瓶の底が見えるくらい少なくなった薬と多量の水を飲み目を閉じた。






「また会えたら。ね」